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第17期「慶應義塾職員名人戦」

〜COVID-19に注意〜

Hitoshi Takano Dec/2022


 2022年11月12日(土曜日)、天気は「晴」。  立冬は過ぎたが、天気予報では最高気温は20度超ということで、施設の暖房運転期間3日前に暖房なしの状況でかるたを取るには無理ない気温といえるだろう。 ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のガイドラインに沿って、換気を励行するとTシャツ・ジャージの競技かるたスタイルでは、 多少の肌寒さを感じるかもしれない。

 ご存知のとおり、新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより、2020年度・2021年度は、「慶應義塾職員名人戦」は中止を余儀なくされた。 2019年10月5日以来、実に3年ぶりの開催である。
 都内の新規感染者数が増加し始めて、第8波となるのではないかと言われているが、出場資格のあるメンバーに予定を確認し、 一番多くのメンバーが参加できる日程がこの日だったので、設定したのである。 3人の都合がつかないメンバーに申し訳ないと思いつつ、前回と同じ最多出場者数の5人が参加できる予定であった。
 しかし、家庭の都合でE三段の欠場が決まり、当日は4人の総当たりリーグ戦の見込みとなっていた。
 そして、さらには、初出場のT三段から、発熱こそないものの頭痛等の体調不良ということで当日の朝に欠場の連絡が入ってしまった。
 当然、体調不良者の欠場は、競技を行う上でのガイドラインに含まれる。誠に残念ながら、適切な判断である。
 不織布のマスク着用、詠みは「自動読上機」の“ありあけ”の使用、札は毎試合別のものを使用、手指消毒用のアルコール消毒液の設置など、 競技実施のガイドラインに準拠して、準備は万端整えての開催である。

 集合時間の10時を待たずして、参加予定の3選手が三田キャンパスの婦人室に集合した。
 開会式では、前回優勝者(第16期慶應義塾職員名人位)のH六段と前回準優勝者のT五段からの持ち回りカップの返還が行われた。

 前回、出場者が5人だったこともあり、今回からT五段の寄贈による第3位用の持ち回りカップも用意された。 (とはいえ、今回は3人の出場になったので、全員入賞ということになるが、、、)
 今までであれば、出場資格はないものの、現役学生やOB・OGが大会運営の係員として集まってくれていたが、お楽しみの夜の祝勝会(懇親会)も開催できず、 また、会場の広さと集合人数によるいわゆる「密」状態への懸念からか、係員は出場者兼任ということで、3人のみのこじんまりした大会となった。
 一抹の寂しさは感じるが、やむをえないことである。
 むしろ、今まで手伝いのために来てくれていたことが本当にありがたいことだったのだと、あらためて思った次第である。

第一回戦
 3人リーグの時、前回優勝のディフェンディングチャンピォンは、2回戦からの出場という慣習があるので、 一回戦は、16回目の出場で、過去優勝11回で永世慶應義塾職員名人の資格を持つT五段(塾監局)と初出場のU初段(教職課程センター)の対戦となった。 この二人の対戦は2012年以来の9試合目の対戦である。U初段は、今年8月の職域学生大会で、10年ぶりに1試合を取り、見事勝利を納めた。 その時の対戦相手の高校生は、その後C級二段に昇級・昇段したそうである。
<初形の写真>

 U初段は、序盤で敵陣の左下段に鋭い攻めをみせ、終盤でも敵陣の右下段を鋭く抜くなど十年超のブランクを感じさせない攻めをみせるものの、 総合的な守備力と堅実な攻めでまさるT五段の牙城は崩せなかった。若干、差が多少ついてからは、自陣の左右下段の札を素早い払いでKeepして枚数を減らしたが、 最後は友札の「こころ」の分かれで、お手つきをしてしまい勝敗が決した。第一回戦は、T五段が14枚差で勝利した。

第二回戦
 この日は、中等部75周年の記念式典があり、祝賀会上に生協食堂がつかわれていたため、山食が土曜日の営業をしていたので、二回戦の前に3人で山食で昼食をとった。 とはいえ、黙食励行のため、会話もないまま、二回戦に向けての闘志を高めていた。
 二回戦は、3人リーグでは負け残りルールが適用される。これは、三回戦で優勝者を決めるための仕組みとして、慣習として定着している。
 10月のグランドチャンピョン大会で優勝したH六段(信濃町経理課)とU初段は、初顔合わせの一番となる。一枚目の「ひさ」をU初段が敵陣左下段に素早く攻め取るスタートとなり、 これは、U初段の善戦が期待できると思ったが、名人戦予選のために調整し、グランドチャンピョン大会で優勝し、 前の週の沖縄で開催された国文祭で滋賀県代表チームのメンバーとして活躍しているH六段と、十年ぶり復帰のU初段との彼我の差はいかんともしがたく、 U初段は善戦むなしく20枚差で初の職員名人戦を終える。
第三回戦(決勝戦)
 1勝同士で迎えた決勝戦は、T五段とH六段の対戦となり、前回大会の決勝戦と同じ対戦カードとなった。前回は14枚差で勝敗がついており、 T五段はH六段に14連敗中でいまだに勝利がない。
<初形の写真>

 T五段としては、序盤から離されて守備に入っても攻め続けられて崩壊するという前回の敗戦パターンを踏襲してしまうのは避けたいところである。 なんとか序盤から大差をつけられないようにとの思いが通じたのか、H六段は前半にイージーなお手つきが複数回でたため、H六段が一桁の入口となるまで、 T五段は2枚差でついていく。しかし、ここからが、H六段の強さで、連取・連取で、あっという間に差を開かれていく。結局、T五段は、8枚差でH六段の軍門に下る。

 大会前の下馬評のとおり、H六段の3連覇で今回の大会は終了した。
H六段は、自身が定年退職までこの「職員名人戦」では、一試合も落とすことなく全勝で「職員名人位」を保持し続けることを宣言していた。
 T五段は、2025年3月末に定年退職となるため、あと2回しかこの大会には出場できない。1年早い選択定年退職を選べばあと1回の出場となる。
 未来に思いを馳せるもの、有終の美を飾りたいと考えるもの、そして、今回一敗地にまみれたもの、今回出場できなかったもの、 様々な人間模様の織りなすこの「職員名人戦」をコロナ禍に負けずに、継続していきたいと改めて思った次第である。
 また、来年度、今度はもっと多くの参加人数で開催したい。



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