春道列樹
山川に風のかけたる柵は
流れもあへぬ紅葉なりけり
決まり字:ヤマガ(三字決まリ)
春道という姓は、春道宿禰といって物部氏の系統である。その一族と
思われる。山の中の川に風が吹いてかけたと思われる柵(しがらみ)は
流れずにたまってしまった紅葉であるというような意味の歌である。
「やまかわ」と読むと山と川の意味になってしまうので、「やまがわ」
と読む。この読みは要注意である。
さて、百首の中で「や」で始まる歌は4首である。
「やえ」と「やす」の二字決まりと「やまが」と「やまざ」の三字決まり
の計4枚である。
なお、Y音始まりは、「や」が4枚、「ゆ」が2枚、「よ」が4枚の計
10枚。百首中の十分の一、1割である。この1割を多いと見るか、少な
いとみるか。おそらく人によって意見の割れるところであろう。Y音の
微妙さは、こんなところにあるのだろうか?
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2008年3月 HITOSHI TAKANO