まだ・後輩への手紙(IV)
Hitoshi Takano AUG/2017
いかがお過ごしでしょうか?
前 略 KH君が島根で仕事を始めてから丸4ヶ月が過ぎ、5ヶ月目に突入しました。いかがお過ごしでしょうか?
就職当初は、体調を崩されたようですが、職業生活にもそちらでの生活にも慣れて、今では元気に仕事に励んでいらっしゃるようで安心しています。
島根のかるた会の練習にも参加されたと聞きました。ぜひ、そちらのほうも続けていただきたいと思います。日本テレビ系の「所さんの目がテン」という番組では、競技かるたの選手は、勝っても、負けても、脳内にドーパミン(いわゆる脳内の「幸せ物質」)が放出されるということを脳科学の教授が語っているということを放送していると聞きました。札を取った時には、取られた時以上に脳に血流が流れるようです。負けた試合でも、札を取っていれば、その時にドーパミンが出ているので、「負けても幸福感を感じられる」ということでした。私としては負けると「悔しさ」を感じるので「幸福感」なんてと思ってしまいますが、悔しさの中であっても一試合を戦いきったというそれなりの達成感に似た感覚(感情)を感じるというのは、このドーパミンのせいなのかもしれません。
KH君も私と試合をする中で、ドーパミンの影響を受けて、それなりの達成感や満足感を感じたことはあったのでしょうか?
島根のかるた会で高校生に意図的に友札を固める送りをされて、それについて質問をしてくるくらいですから、競技かるたへの思いはまだまだ強くもっているようですね。きっと、この思いにはドーパミンの影響があるのかもしれません。
まあ、友札を意図的にくっつける送りをされたからと言っても、平然と定位置に置けばいいと思います。もし、相手がKH君が並べて置くと予想していると思うならば、2カ所にわけるという選択もありえます。KH君の場合は、動揺をみせずに何事もなかったようにふるまうということが大切だと思います。2枚並べるにしても、2枚を2カ所にわけて置くにしても、札はきれいに並べてください。三田での最後の練習のときにDTさんに教わったことを思い出してください。
島根の高校生の話がでましたが、先月の高校選手権は、福島県の安積黎明高校が優勝しましたね。9連覇中の暁星高校は都の予選を突破できず、残念ながら10連覇の最多連覇タイ記録へのチャレンジを近江神宮の畳で見ることができませんでした。たいへん残念なことですが、栄枯盛衰は世のならいです。きっと捲土重来を期すことでしょう。
島根県の高校は1990年代に3度、益田高校が決勝戦まで進んでいます。そのうち一回は見事に優勝でした。KH君の練習相手がどこの高校の生徒かは聞いていませんが、島根の高校のレベルは高いと思いますので、きっといい練習相手になってくれると思います。試合終了後には、いろいろと質問して考え方や戦略について聞いて、自分のかるたの工夫に役立ててください。
私の今年度の練習について、近況を伝えておきます。SFC練習は5月に中高の団体戦練習に日曜に顔をだしたのが1回のみですが、三田の婦人室での月数度の水曜練習と月一度の土曜練習を行なっています。水曜日がノー残業デイなので、仕事帰りに練習できる環境があるのはありがたいことと思っています。KH君と月曜の午後6時から練習していた分を水曜にこなしている感じです。あとは、土曜日に日吉の練習に顔を出しています。今年度の初顔合わせは13人です。この7月になって、通算対戦数(3560戦)での勝数が2136勝となり、勝率が初めて6割になりました。日ごろの対戦相手のクラス(A級〜E級)にもよりますが、10試合で6勝するというのは大変なことだと実感しています。年間100戦という目標もありますが、一日に何試合も取る体力が衰えてきており、練習数の達成、勝率の維持を励みにがんばりたいと思っています。
さて、話はかわりますが、KH君と同姓のNH君が就職活動を無事に終えました。職場においても私の後輩になることになりました。いろいろな意味でがんばってもらいたいと期待しています。KH君も是非うちのチームを応援してください。
KH君自身の職業人生も始まったばかりです。いろいろなことが今後あると思いますが、がんばってください。何か相談があれば、競技かるたのことでもいいですし、その他のことでもかまいませんので、遠慮なく相談してください。私もKH君を応援しています。
では、また。東京に来る機会があれば、連絡ください。以前のように、かるたを取って、飯でも食いましょう。
草 々
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