シン・後輩への手紙(VIII)
Hitoshi Takano Jun/2023
3分の百首
前略 最近、私のお世話になっている出稽古先で会う機会も増えました。
常々、KH君にはKH君にあった出稽古先が必要だと考えていたので、自宅や職場からは少し遠いかもしれませんが、よかったと思っています。
参加者のみなさんとの交流にも積極的に参加して、人間関係の構築もうまくいっているようで一安心しました。
それというのも、KH君が出稽古に行く際に代表の方に「私の弟子」と明言したと聞き、「師匠」としての責任が生じたことが原因です。
「弟子の恥は、師匠の恥」というように、この一言で私にはKH君の言動に対しての指導責任が生じました。
ちなみに「弟子の誉れ」は、イコール「師匠の誉れ」ではありません。そういうケースもありますが、ダメな師匠でも優秀な弟子が育つこともありますし。
しかし、弟子のマイナス面に関しては、これは師匠にほぼ責が行くと言ってよいでしょう。
そういうことをふまえて、しっかりと出稽古させてもらってください。
現状をみると、年配の男性や既婚の女性には、それなりに力を発揮しているようですが、若い女性との対戦では、地力を発揮できずにいるように感じます。
おそらく、大会での結果や、後輩たちとの練習においての結果においても、同様の傾向があるように思います。
三田婦人室での私をはじめとした年配の男性への対戦結果では、地力を発揮できているようですので、この傾向はたいへん残念です。
ぜひ、ブレイクスルーできるよう試行錯誤しつつ、さまざまな工夫をしていってほしいと思います。
さて、出稽古先では、三本取る時間が充分に確保できず、二試合のあとの練習を短めにしなければならない時とか、初心者練習会の前の一試合をとる時間を充分に確保できない場合に、
時間の有効利用のために「3分の百首」というのを実施しています。
私としては、フルに取る練習との相違は感じるものの、初心者や初級者を始めとして、段位を持つ選手にとっても、テーマ別練習には役立つところがあるように感じています。
KH君も、この練習に自分のテーマを設定して、さまざまな課題への対応に利用してもらえたらよいと思います。
ここで、あらためて「3分の百首」の解説をしておきたいと思います。私自身も、この出稽古先で初めて教えていただいたので、まだ数回しか経験がありませんが、
自分自身としてもルールの整理をする意味で、KH君向けに記しておきたいという趣旨での紹介であります。
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【 三分の百首かるた“解説” 】
百首をほぼ「3分の1」ずつ、3つのグループにわける。
34枚のグループを一つ、33枚のグループを二つ設定する。
各グループは次のとおりとする。
グループ(A) : 34枚 あ な い う し す さ せ
グループ(B) : 33枚 た こ み か ち き つ も む め
グループ(C) : 33枚 お わ は や よ ひ ゆ ふ ほ
☆ 1試合で使用するのは、上記の3グループのうちの1つのみ。
☆ 各グループのうち、ランダムに双方10枚ずつを取り、残りはカラ札となる。
☆ 札の並べ方は、競技かるたのルールにのっとった並べ方とする。
☆ 暗記時間は5分とする。
☆ 素振りは1分前から可とする。
☆ その他は、競技かるたのルールに準拠する。
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KH君も1〜2試合は、体験したのでしょうか?。
ちょっと「カンがくるってしまう。」という感じはしなかったでしょうか?
まあ、そういったところには、目をつむって「敵の右下段」を抜くことをテーマとするとか、
普段はお手つきのリスクを減らすために「トモ札を攻めるが、ワカレ札の戻りは意識しない(あきらめる)」といった方針を
それとは異なり「トモ札を攻めて、違ったら自陣のワカレ札に戻ることを意識する」といったことをテーマにするとか、
いかがでしょうか?
普段、決まりを聞いてから(手元で聞き分けて)手を出すという人であれば、一音目から手を出すことを意識した練習をしてみるとか、
その逆に、普段一音目から手を出してしまう選手であれば、決まりを手元で聞き分けてから手を出すことを意識した練習をしてみるとか
というテーマ設定でもいいかと思います。
自陣の「渡り手」を意識した練習なども考えられますし、普段、トモ札を自陣で並べない人であれば、トモ札を自陣で並べた練習という
テーマ設定でもよいでしょう。
上段中央に札を置いて、突き手の練習をするというテーマ設定もありうると思います。
なにはともあれ、いろいろなことを試してみるということでよいのかと考えます。
自分なりに「3分の百首」に取り組んでみましょう。
では、出稽古先でお会いすることもあるかとは思いますが、また、我々のホームグラウンドである「三田婦人室」の練習会でお会いしましょう。
草々
追伸 先月の対KH戦を65連勝でストップさせてしまった敗戦は、KH君もよく頑張っていることを確認できた敗戦でありますが、
やはり自分自身の立場からは、悔しさばかりです。ダブ3回、取損2回の計5回のお手つきを猛省しています。お互い、お手つきは「NG」と心得て練習や試合に臨みましょう。
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