清原深養父
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを
雲のいづこに月宿るらむ
決まり字:ナツ(二字決まリ)
作者は、清原元輔の祖父で、清少納言の曽祖父にあたる。琴の名手と伝えられる。
歌の意味は、「夏の短い夜は、宵になったと思ったらすぐに明けてしまう。月は、雲の
間のどこかに隠れているのだろう。」というようなものだろう。
要するに、夏は夜が短いから、女性と夜にともにいる時間が短くなってしまうという
ことを嘆いているのだ。通い婚の時代である。夜暗くなって女性のもとを訪ねた男性は
明るくなる前に帰らねばならない。当然、冬より夏が短いのだ。
さて、百首の中で、下の句が「くも」で始まる取札は3枚ある。
・「雲のいづこに月宿るらむ」(なつ)
・「雲隠れにし夜半の月かな」(め)
・「雲居にまがふ沖つ白波」(わたのはらこ)
個人的な印象にすぎないのだが、結構、取札冒頭の「くも」は見つけやすい。
かるたでは、次の歌の上の句を読み始める前に、前の歌の下の句を読むのだが、この
とき、この三首は、当然「くも〜」と読み始める。すると、私は、場にこの「雲」始まり
の取札がある場合は、すかさず、頭の中で確認をする。
そして、「夏の夜の」のこの歌の場合は、「秋」と「春」の季節始まりの歌も確認する
のである。
そうそう関連の札が続けて出ることもないのだが、習慣になっている。
たまたま、続けて出たりすると「ラッキー!」と調子にのることがある。ただ、出ても
取れないと、少々へこむこともある。
試合は冷静に運ばなければならないのだが、、、
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2008年4月10日 HITOSHI TAKANO