後輩への手紙(7)

Hitoshi Takano APR/2002

丙君への手紙(2)

前略 ご就職おめでとうございます。4月1日の新任式はいかがでしたか。いよいよ社会人生活の始まりですね。
 最初の10日間ほどは、オリエンテーションですね。東京・神奈川に分散している様々な職場を見学してまわるわけですが、身近に感じていたとはいえ、社会人として、自分がそこで仕事をする可能性を考えながら見学すると、きっと新鮮に感じることでしょう。そして、先輩職員の体験談を聞いたり、講演を聞いたり、ビジネスマナー研修を受けたりするのもこの期間です。何年後にか、すべてを覚えているということはないと思いますが、心に残る話しというのがあると思います。そういう話しが一つでもあれば、自然と覚えているものです。私にも20年前に聞いた話しで、今でも覚えていることがあります。
 ビジネスマナー研修は、心に残るという話ではないので、身体で覚えていってください。オリエンのあとの約2ヶ月の職場研修では、周囲の人でマナーができてない人がいるなと思っても、そういう人を真似ずにならったマナーを自分なりに実践していってください。
 オリエン期間には、職場内のコンピュータのネットワーク研修もあります。今後の仕事ですぐに関わる部分ですから、職場研修につながる研修かもしれません。
 この最初の10日間は、受身の研修なのですが、その中でも積極的に自分を表現していってください。同期の仲間も周囲の先輩たちも、興味をもって見ているものです。

 さて、オリエンや職場研修が始まり、学生時代とは違った時間の過ごし方となります。本人は意識していなくても、精神的緊張が無意識に身体にかかっています。仕事が終わって練習に行くと、学生時代のようには取れなくなっている自分に気づくでしょう。
 集中できなかったり、身体の切れがわるかったりすることでしょう。こんな中、練習充分伸び盛りの後輩たちに負けてしまったりすることもあります。でも、これで、「俺はこれからは仕事に生きるんだ」と、「後輩に負け始めたのも潮時だ」と引退したりしないでください。おそらく、仕事帰りの1試合は、3〜4試合とったあとくらいの感じがしているのではないでしょうか。しかし、これは、新しい生活に身体が馴染んでいないだけなんです。徐々に、練習時の集中力が戻ってきます。仕事以外に、こうした自己実現・自己表現の場所を持っていることの良さを感じる日がきっとくることでしょう。

 丙君の職場が、後輩たちの練習の場所の近くにあることは確かな事実です。ぜひ、その利を活かしてください。まだまだ、強くなれるはずです。
 仕事のことでも、社会人としての競技かるた生活のことでも、何かあれば相談してください。多少は、私の経験をお話しすることができると思います。

 では、また、練習場で顔をあわせましょう。草々


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