三条院

心にもあらで浮き世にながらへば
   恋しかるべき夜半の月かな


決まり字:ココロニ(四字決まリ)
 三条天皇は、目を患っていたと言われる。それを理由に藤原道長に退位を迫られ、退位した 翌年に崩御するのである。その後、外戚の地位を確保した道長は、全盛を迎えるのである。
 この世をば我が世とぞ思ふ望月のかけたることのなしと思へば
 望月は欠けていく定めである。この道長の全盛は、すでに蔭を秘めていたのである。

 心に反して憂き浮き世に長らく生きていることになれば、今夜の月が恋しく思われることであろう という意味である。
 目の悪かった三条院の目にも、この晩の月の明るさが届いていたのであろう。

 「こ」の音で始まる札は、百首中に6首ある。
 4字決まりのペアが一組。「こころに」と「こころあ」である。
 2字決まりが4枚。
 「こぬ」と「この」は“Ko-n”と「こ+N音」で間違えやすいので要注意である。
 そして「こひ」と「これ」である。この6枚を2字めをとって「ここれのぬひ」などと言って 覚えるのである。

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2008年3月  HITOSHI TAKANO