インドへの手紙(番外編)

Hitoshi Takano   Aug/2016

Evaluation for your video



前 略 S君、あたらしい「ひとり練習」動画をアップしてくれてありがとう。今回も評価してほしいとのリクエストがあったので、順番に一枚ずつふりかえるとともに、最後には全体の講評をしたいと思います。

2016年6月10日 (金曜日)  インド カリヤーン市
ひとり練習       ( 初形配置図 )

"A" :  Yash Soni                                         "B" :  ---- ----

A-左下段 A-左中段 A-左上段   B-右上段 B-右中段 B-右下段
あさぼらけう  はなの  ながか    かぜを  いに  ひさ 
あい  こころに  わび    こぬ  いまは  うか 
やまざ  なにわえ  しら    やえ  あらし  うら 
もろ    これ      あらざ  みよ 
ちぎりお            きみがためは 
             
             
             
             
             
め            なつ 
せ  きみがためお          わがい 
つき  わたのはらや        たれ  わがそ 
しの  おも      この  なげけ  なにし 
ゆう  かさ  あわじ    こころあ  いまこ  たご 
ひとも  みかの  あわれ    おと  みせ  わすれ 
A-右下段 A-右中段 A-右上段   B-左上段 B-左中段 B-左下段

配置図英語版


 動画のURLは次のとおりですね。今回は2部構成でした。

https://www.youtube.com/watch?v=6tppGM87ihM

https://www.youtube.com/watch?v=iWyPc6sFmOQ

 上記の初形配置図を参考にしながら見ていきましょう。初形配置を教えてくれたので、随分助かりました。これで、札の送り等の移動情報、お手つき情報なども加わると、もっとよいのですが、今回は初形図でよしとしましょう。途中、枚数のつじつまがあわなくなるところは、質問をいれています。
 なお、チェックするにあたり、決まり字でポーズボタンを押すと手の動き出しのタイミングを確認することができますから、自分でも試してみるとよいと思います。

------- 記号について -------
o:場に出札があった場合
x:カラ札(場に読まれた札がない場合)
(○陣○×段):札があった場所

------------ 序 盤 -----------------

1)o:あらざ(敵陣右中段)3字目を聞いてから動き出しています。「あらざ」「あらし」と2枚並んでいますから、 2字決まりです。払い手の入射の角度がいいと思います。
2)o:め(自陣右下段) 払うときの手首の使い方がよいです。札を取る瞬間のスピードを上げるには手首と指先の使い方が大事です。
3)o:なにし (敵陣左下段)中段に触れずに下段だけをうまく払うことができました。初動は3字でしたが、手元で「ため」て取りにいったようです。
4)x:つく
5)x:たま 敵陣左にある「たれ」・「たご」のほうに手をだしています。もし、相手を牽制するつもりなら、もっとはやく手をださなければ効果はありません。牽制の意図がなければ手を出す必要はなかったと考えます。
6)o:これ (自陣左上段) 4字目くらいで取っていますね。遅かったですね。
7)o:あさぼらけう (自陣左下段) 出札の上空で決まり字を待って取っています。低くはありますが、上空に浮いているので、相手が出札の外側から指先を入れることが可能です。囲うのであれば、あなたの指先を札の外側の地点に札に触れないように接地させて囲わなければ、相手にスキを突かれてしまいますよ。
8)x:ありま あなたは、敵陣の右に手を出しました。「あらし」を確認しにいったのでしょうか?もし攻めにいったとしたら遅いです。
9)o:やまざ (自陣左下段) 「やまざ」と3字目までを聞いてから手が動いています。しかし、自陣の近さの利があるので、うまく取れています。
10)x:あし 相手を牽制しようとしたのでしょうか?牽制にはなっていないようです。
11)o:しの (自陣右下段) 自陣の右下段の守りとしては良いでしょう。
12)x:きり Y あなたは、相手陣の「きみがためは」を取りにいくふりをしています。読まれた「きり」は2字決まりで、「きみがためは」は6字決まりです。字数に大きな違いがあるので、今回の手を出すタイミングでは牽制になりません。
13)x:おほけ まったく動きませんでしたね。カラ札の時にまったく動かないことは悪いことではありません。無理・無駄な動きは必要ありません。
14)x:よのなかよ  敵の右上段に手を出しましたが、「よ」の札はここにはありません。「やえ」があるからと言って、「Y」音で動いたとしたら遅いです。「よ」としっかり聞こえてから、「や」の札に手を出す必要はないのです。
15)o:ながか(自陣左上段) あなたは敵陣左中断の「なげけ」に手を出しました。しかし、即座に方向転換し、自陣の左上段の出札に戻りました あなたは、押え手で出札を取りました。そして押えてから払いのような手の動きをしました。押えた時に札の取りが成立しているので、あえてそこから払いをしなくてもよいのです。
16)x:なにわが あなたは、敵陣左下段の「なにし」を攻めにいったのでしょうか?しかし、「なにし」はすでに読まれた札です。それとも「なつ」とか「なげけ」を攻めようとしたのでしょうか?場としては、あなたの自陣左中段に「なにわえ」があるのですから、「なに」と聞こえたら、この「なにわえ」に反応すべきです。
17)x:あけ
18)o:かぜを (敵陣右上段)  あなたは読みに反応できませんでした。あなたは押え手でゆっくり取っています。これはよくありません。出札が場にあるとわかったら、即座に押え手ではなく払い手で札を取りにいくべきです。
19)x:ありあ あなたは、「ありあ」と聞いてから、敵陣右中段の「あら」に手を動かしています。出札がないとわかったら手を動かす必要はありません。あなたは何を意図したのでしょうか?
20)x:む
21)x:もも
22)o:かさ(自陣右中段) あなたは躊躇しました。あなたの手はさまよい、最初は自陣右中段の札を触れてしまいました。あなたは間違えに気付いて次には正しい札を取ることができました。 あなたは、札を取る瞬間を目で確認していなければなりません。
23)x:ゆら
24)x:あさぼらけあ
25)o:なつ(敵陣左下段) よい取りです。
26)x:わたのはらこ あなたは、お手つきをしましたか?あなたは囲い手を使っていませんでしたね。 もし囲い手を使わないのであるならば、決まり字をしっかり聞かなければなりません。
27)o:わがい(敵陣左下段)  最初に自陣左中段に手を動かします。「わた」に反応したのでしょうか? 次に敵陣の左下段を攻めて払い手で取りました。最初から「わがい」を攻めてほしかったですね。
28)o:あわれ (自陣左上段j)あなたの手は出札の上を行き過ぎてしまいました。すぐに戻りましたが、押え手で取りました。手首をうまく返して逆方向への払い手を使ってください。
29)o:やえ(敵陣右上段) 出札にまっすぐに手を出す良い取りです。
30)o:ひとも (自陣右下段) 手の動きが良いです。
(Yash)13-22(相手)

------------- 中 盤 --------------

31)x:あきか 自陣左下段に手が出ました。「あい」の札にに反応したのでしょうか。 単なる素振りなのでしょうか?
32)x:やす 敵陣右上段の「やえ」に反応したようですね。
33)x:あさじ 敵陣右中段に手を出しています。そこには「あら」があります。この手の出し方では牽制にもならず、あまり意味がないようです。
34)o:つき (敵陣右下段) 出札にまっすぐ手を出し、あたかも「突き手」のようです。よい取りです。
35)o:こころあ (敵陣左上段) 囲い手をするつもりだったとしたら遅いですね。実際には押え手で取っています。囲い手を使わないならば、速度のある払い手で取るべきです。
36)o:うら (敵陣右下段) 良い取りです。まっすぐに手を出して「出札」を取っています。「突き手」のような感じを忘れないでください。
37)x:あふこ ピクリとも動きませんでしたね。それでよいです。
38)x:ほ 不動でしたね。不必要に動くことはエネルギーの無駄です。
39)o:たご (敵陣左下段) 良い払いです。
40)o:みよ (敵陣右下段) 払い手、ナイスです。
(Yash)8-22(相手)
41)x:たき 不動如山。
42)x:みち 札の位置を変えましたか?
43)x:さ 敵陣右下段に手を出していますが、「S」音の札がないのですから、手を出さなくてもよいのです。
44)x:かぜを
45)x:す 「さ」で動いて「す」で動かず。動かなかったことは良いのですが、行動に一貫性がないですね。相手に行動を読まれないから一貫性がなくてもいいのですが。感じるままに行動しているのですか。
46)o:きみがためお (自陣右中段) 敵陣右下段の「きみがためは」を触ってしまいました。お手つきです。 囲い手をしようとしたのでしょうか? 素早くはありませんでした。 「きみがため」は両陣に別れてあったのですから、相手もあなたの「きみがためお」を攻めてくるでしょう。出札が逆だったら、あなたが札を取っていたことでしょう。相手に取られても気にする事はありません。 しかし、お手つきはよくありません。あわてないことが肝心です。
(Yash)10-20(相手) 札の合計数が1枚多いようですね。
47)o:はなの (自陣左中段?) あなたは自陣の左中段をまず払いました。その後、敵陣右上段の内側部分を叩いています。この動作の意味は何ですか?
(Yash)10-18(相手) なぜ、相手から2枚も札が減ったのでしょうか? 前の時点で1枚多かったのですよね? 相手に取られた設定でしょうか?
48)o:わび (敵陣右中段) とてもよい取りです。
49)o:こころに (自陣左中段) 敵陣左上段に手が行ってしまいました。ここにあった「こころあ」の記憶が残っていたのですね。「こころに」を取るときは押えないで払いましょう。
50)x:ogu 敵陣左中段を攻めにいったのですか? どんな札がそこにあったのでしょうか?
(Yash)9-17(相手)
51)x:よも
52)x:みかき 自陣右中段の「みかの」に動きました。ここに出札がないと認識した上であなたは動いていますね。それは必要のない動きではないでしょうか?単に素振りのつもりだったのでしょうか?
53)o:あらし (敵陣右中段) 2字決まりになっていますが、あなたは3字目を聞いてから動き始めています。払いは良いと思います。
54)x:amano 敵陣右上段に動きました。何の札があったのでしょうか?
(Yash)8-17(相手)
55)o:わたのはらや (自陣右中段?)「わたの」と聞いていますが、「わた」の2字決まりです。自陣右中段に置いてあったのではないのでしょうか? お手つきしたように次に札の数が変わっています。
(Yash)9-15(相手) 自陣が1枚増えて、敵陣が2枚減っています。ダブかセミダブのお手つきをしたのでしょうか?
56)x:はるの
57)x:ちぎりき あなたは敵陣左下段の「ちぎりお」に行きました。カラ札ですが、意味がある動きです。
58)o:きみがためは (敵陣右下段) すでに1字決まりになっています。あなたは3字目を聞いたくらいで動き始めています。1字決まりは1字で動きましょう!
59)o:みせ (敵陣左中段) 出札1枚だけを払ったのは、きれいな払いで素晴らしいです。手首と指先の使い方が上手です。残念なのは速度不足な点です。
60)x:あまつ
(Yash)7-15(相手)
61)x:たち  これは、お手つきしたのではないでしょうか?
(Yash)7-15(相手)  もしあなたがお手つきしているとしたら、札をもらわなかったのは何故ですか?
62)x:わすら
63)o:いまこ (敵陣左中段) 最初は自分の左側に反応しましたね。そこから方向転換しています。最初の反応が「いに」に対してであったなら、それはOKです。
64)x:よを  動きませんでしたね。それでよいです。
65)x:ふ カラ札ですが、手を出しています。この手の出し方は悪くないと思います。
66)o:うか(敵陣右下段) 1字決まりになっていることはわかって払っていますか。払い自体は良い払いだと思います。
(Yash)5-15(相手)

------------ 終 盤 ------------------

67)o:あわじ (敵陣右中段)  2字決まりの札ですが、あなたは3字で手を動かし始めています。しかし、あなたの払い手はよい払いをしています。
68)x:たか
69)o:わすれ (敵陣左下段) 良い払いです。
70)o:わがそ (敵陣右下段)  良い攻めです。払い手も良いです。
71)o:ひさ (敵陣右下段)  中段を触らずに下段だけをきれいに払いました。素晴らしい払いです。
72)o:せ (敵陣右下段)  良い払いです。
(15枚差で、Yash君の勝ち)


 最後にまとめとして、総評を書きます。前の動画で見たひとり練習よりも上達しているということをまずは伝えたいと思います。その原因は、一音で感じるだけではなく、決まりを待つ「ため」ができてきた点にあります。また、払い手もよくなりました。
 改善点は、同音で出札と違う方向に手を出してしまったときや、からぶり、出札に全く感じなかった時に、二の矢の手の出し方が「払い手」でなく「押え手」であることです。「払い」を心がけてください。あとは、大山札の囲い手というか、取り方がいまひとつうまくいっていないということです。囲うなら囲いの技術をもっと磨きましょう。囲わずに聞き分けて取るならば、対大山札用の突き込みや払いの技術を身につけるように練習してください。ポリシーを決めましょう。中途半端はよくありません。
 カラ札の時の手の動かし方も、しっかりポリシーを持って決めていきましょう。「音」に素早く感じたならば、取りに行くつもりで手を動かして聞き分けて瞬時に逃げるように手をだしましょう。「音」に感じなかったりして決まり字まで聞こえてしまった場合は、無理に手を動かさなくてもよいです。 相手にフェイントを掛けたい、相手を牽制したいという意図がある場合は、手の出が遅かったら牽制になりません。取りに行くのと同じくらいのスピードで手を出して牽制しましょう。無駄な動きを極力避けて、エネルギーを温存しないと、何試合も連続でとらなければならないトーナメント戦を勝ち残れません。

 さて、次回に動画を撮ってアップする場合の注文です。対戦相手がいないことは理解していますが、ダミーで対戦相手の席に座ってくれるくらいの協力者くらいならばいるのではないでしょうか。そういう協力者を見つけて、とにかく一音目で適当に手を出すことだけをさせてください。それだけで、自分の思うような取りができなくなると思います。それを克服することが練習になります。また、その際、自分が敵陣を取ったときの送りはしてもかまいませんが、カラ札も含めて7枚(8枚でもかまいません)読まれるたびに敵陣から1枚自陣にもらってください。札の行き来があると、場面ごとの暗記が大事になります。これで集中力を養い、実戦に近い形に慣れてください。
 いつまでも、ひとり練習だけでは、次のステップに行くのは難しいのです。また、初形をメモしておいたり、お手つきや札の移動の記録もつけておいてくれると、こちらとしても評価がしやすくなります。そういう情報をまとめて、上記のような形で順番に1枚ずつの自己評価を書いて送ってくれれば、私も講評しやすくなります。いろいろ工夫してみて下さい。
 では、次の動画を期待しています。
草 々


 2019年7月23日にさらに練習画像がアップされた。→ https://www.youtube.com/watch?v=uSvRznJkjfg
        前の手紙へ

手紙シリーズのINDEXへ        インド青年のブログ紹介


トピックへ
私的かるた論へ
慶應かるた会のトップページへ
HITOSHI TAKANOのTOP PAGEへ

Mail宛先