また・後輩への手紙(VIII)

Hitoshi Takano   Sep/2016

「感じ(ひびき)」のはやさを自己評価してみよう



前 略 暑い夏も9月の声を聞き、日中の残暑は相変わらずですが朝と夕には多少「秋」の気配を感じるようになりました。 現役の皆さんは、合宿を始めとし、大学選手権、集中練習、学生選手権など、実力向上の夏にすることができましたか?
 若い皆さんは、私とは違って夏バテなどしないでくださいね。

 さて、最近、私は、「攻めかるた」は、感じ(「ひびき」とも言います)の遅い選手が、感じのはやい選手に 対抗する手段の一つであると考えるようになりました。これについては、"TOPIC"の7月号と 手紙シリーズの7月号などを読んでいただければわかるかと思います。

 そこで、はたと気づいたのです。あたりまえのことかも知れませんが、相手が自分より感じが早いか、遅いかを判断することは 戦略・戦術上重要なポイントであるということです。
 なぜ、こんな当たり前のことをいまさらのように言うかというと、私が非常に感じの遅い選手であるがゆえに、大抵の選手は 私より感じがはやいのです。私が実感として、私より感じが確実に遅いと思った選手は738人(本稿執筆時現在)の対戦相手のうち、 5%もいないと思います。したがって、私のほうが相手より感じが遅いことを前提に自分のかるたの戦略や戦術を考えているので、 あまり、自分が指導している後輩が、自分の感じのはやさをある特定の集団の中でどの程度の位置と評価しているかを聞いた ことがなかったのです。

 ところが、先日のOB/OG練習に来た現役との対戦を終えて、ふと彼は自分の感じを慶應かるた会の現役陣の中でどのくらいと 感じているのかを聞いてみたくなったのです。

 本人曰く「慶應かるた会の現役の中でですか、、、?・・・難しいですね、、う〜ん、、、50%、、、真ん中くらいですかね〜、、、」。

 一年生も多いので、二年生の彼としては、だいたいこのくらいの自己評価なのかと思いました。ただ、一年生の場合、まだ、 評価の難しい時期かもしれません。本人が対戦したとき、感じのはやさ以外の要素も一緒に評価してしまう懸念があるから です。個人的には、多少、自分に甘い評価かなとも思いました。
 しかし、自己評価は自己評価です。自分の立ち位置を決めたなら、そこで、自分よりはやいグループ、自分と同等のグループ、 自分より遅いグループという3つくらいに分けて、戦略や戦術を考えることができると思います。
 ぜひ、励行してほしいと思います。もちろん、それ以上に、基礎能力のアップは大きな命題です。感じのはやさは、資質に よるところが大きい要素ですが、訓練で少しはアップします。また、1音目のはやさ以外のはやさへの着目も大事な点です。 何より、「払い」のスピードアップは、まだまだ、伸びしろがあるはずです。こちらのほうが、訓練による大幅な上達が見込める 重要な要素です。

 いつものようにいろいろと書きましたが、ぜひ、感じのはやさについて自己評価をしてみてください。
 そこから、また、いままでとは違うかるた会の風景が見えるかもしれません。
 それでは、また、練習場でお会いしましょう。
草 々


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