新 TOPIC
「団体戦」の夏
〜選手層を厚く〜
Hitoshi Takano Jul/2023
競技かるたの団体戦のシーズンは、夏である。かるたの甲子園と呼ばれる「高校選手権」、そして「大学選手権」。
「高校総合文化祭」。「職域学生大会」。みな、夏の開催である。(職域学生大会は、ABC級は3月開催)
特に高校選手権は、優勝までに6試合の道のりである。
いくら若いと言っても、野球でも投手の球数制限があるくらいなのだから、競技かるたの選手にも無理をさせてはいけないだろう。
さて、以前私はTOPICにおいて、「対戦数の総量」というタイトルで、1日や1週間や1ヶ月の練習量の制限を仮定してみた。
1日の上限は6試合としたが、実体験からすれば6試合は相当にきつい。
6試合目となると、チームの絶対的エースと信頼される存在の選手であっても、よいパフォーマンスを出せるかといえば、その保証はない。
高校選手権で優勝の栄冠を勝ち取るのに必要なのは、「選手層の厚さ」と選手の起用方法だと感じている。
過去のTOPICでも「高校選手権の思い出」とのタイトルで、静岡県立富士高校の見事な選手起用について書いたことがある。
この厚い選手層で、選手の起用を考えながらの長丁場の6試合を戦うというのは、すごく重要な考え方になっていくと思う。
固定メンバー5人でなければ勝ち進めないチームは、決勝に行くまでに相当の肉体的・精神的負担を背負うことになる。
エントリーの8人を交代・交代でフルに活用できるようなチームが結局は強いのではないかと思う。
選手層の厚さが求められるのである。
仮定の話ではあるが、たとえば、1選手は、1日に5試合しか出場できないとか、4試合しか出場できないというシーリングをかけてみたらどうだろうか。
あきらかに高校選手権の選手起用は変わるだろう。
そうなれば、エントリーは上限8人ではなく10人ぐらいにはしないといけないかもしれない。
高校野球だって、甲子園のベンチ入りの選手の人数は以前の14人から徐々に増えてきているのだ。
職域学生大会は、1日4試合だが、特に職域チームの年配の選手には、4試合は非常に厳しい。日頃の運動不足・練習不足がたたっているわけだが、
やはり、頼りになるリザーブの選手がいるといないとでは大違いである。
昨年の夏には、5人団体の職域学生大会C級で、チーム編成最小限の3人のチーム編成で全員が4試合全勝で優勝したチームがあったが、これはすごいことである。
とはいえ、すべてのチームがこういう具合にはいかない。やはり、8人エントリーで選手交代をできる余裕のある選手層の厚さが、チームの総合力には必要であると思う。
ちなみに、私のチームは、4試合目に私の代わりに出場したリザーブの選手が見事に勝利を納めてくれた。
各学校や、各職場では、団体戦出場ギリギリの人数しか集まらないチームもあるだろう。
そして、人数はいても、レギュラー陣とリザーブ陣に実力の差がありすぎて選手の起用に苦労するチームもあるだろう。
それはそれで仕方がないことではあるが、競技かるたの団体戦の全体的な底上げをはかるには、各チームが「選手層」を厚くしていかなければならないと思う。
そうなってこそ、団体戦は今まで以上に魅力のある競技スタイルになっていくのだと考えるのだ。
現在、大学選手権の団体戦は、3人団体だが個人的には、5人団体にしてほしいと思う。
大学選手権は、個人戦では、大学代表の部や、○回生の部というように年次別のトーナメントを行っている。
非常に柔軟な運営をしているように感じている。
それならば、団体戦も、5人団体の部と3人団体の部と二つのカテゴリーにわけてのエントリーもあるのではないかと思う。
選手層を厚くして、5人団体でも3人団体でも優勝という大学があらわれるかもしれない。
「夏」は団体戦の季節。選手層の厚いチーム同士の熱い戦いを期待している。
【余談】
先月は、近江神宮出場権をかけた各地区の予選結果の情報が耳にはいってくる時期だった。
昨年の優勝校「渋谷教育学園幕張」(千葉県)と準優勝校「暁星」(東京都)が、どちらも近江神宮出場を逃した。
選手層の厚さには、学年のバランスも重要である。
一つの学年のみ選手層が厚いというのでは、特にその選手層が最終学年であれば、翌年の連続出場を目指す際の次の代の学年には
厳しい現実が待っている。高校時代は3年間。その3年間で選手層の厚さを各学年で揃えていくというのは非常にたいへんなことである。
連続出場をしているチームはもちろん、連覇を遂げているチームの努力にはあらためて敬意を表したい。
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