新 TOPIC
小学生への指導(2)
〜自主性〜
Hitoshi Takano Nov/2024
練習の場としてお世話になっているSYかるた会の小学生たちが、すこしずつ力をつけてきた。
それとともに、個々の特徴も今まで以上にはっきりしてきた。
競技かるたに関して、小学生という一括りで指導を考えることは最早無理となっている。
小学生対応の難しさは、今までもまとまらないなりにwebsiteで紹介してきた。
手紙シリーズの中では、一緒にSYかるた会にお世話になっている(現在はSYかるた会に移籍している)後輩への手紙で2回書いている。
続シン・後輩への手紙(III)では、小学生に怖がられてしまうケースについての分析をおこなった。
実は、最近、この時に対象とした別のサウスポーの小学生が、会のママさん選手との対戦での2タバ負けで2回、号泣している場面に遭遇した。
お手つきで崩れたり、途中で負のスパイラルで取れずに心が折れてしまったことによる「自分への不甲斐なさ」への悔し涙と理解している。
まだ、感情のコントロールができていないためということであろう。
将棋の藤井聡太七冠の小学生時代の泣いている映像をTVで見ることがあるが、彷彿とさせるシーンであった。
しかし、これだけ感情をあふれさせる悔しさを持っていることは、成長への大きな可能性を感じさせる。
まだ、身長もこれから伸びることが考えられるので、技術的な指導には様々な要素を盛り込まなければならないのだが、
まずは、この気持ちの強さをどういかすかが今後の指導の課題となるのである。
続シン・後輩への手紙(V)では、競技の先輩としての小学生に対する指導役割の一つに
「マナー、所作、言葉遣い、主張の際のポイント」などの手本になることをあげた。
これは、私自身、小学生に対して競技者の「佇まい」を感じてもらえるように自分自身を見せるように心がけている。
以前は、私が暗記時間やインターバルの暗記で手元で小さく手を動かしながら暗記を入れている姿を不思議そうな顔でみていた小学生が、
いまでは、自分も同様に暗記を入れている姿をみると、「真似る」ことが「学び」になっていることを感じるのである。
別に誰かがそうしろと言ったわけではない。練習や試合会場で大人の選手を見て自分ではじめたことだろう。
新トピックでは、今回のタイトルの原点となった「小学生への指導〜悩み多き試行錯誤〜」では、まさにタイトルのままの思いを綴った。
さきほども書いた身長問題も含め、個々をみた指導の大切さを自戒の念を込めて書いた。
最近競技かるたを始めたばかりの小学生の定位置作成には、先入観を植えつけることはせずに、定位置表に自分の考えたように書かせた。
手を左右に払う姿勢をしながら、札の位置を決めていく姿(表情)は、とても楽しそうだった。
競技を取り始めてから、なんか違うなと思ったら、あとからどんどん変えていいからと説明した。
工夫することも、また「楽しさ」だと思うからだ。
いわゆるセオリーとは違う配置も目にはついたが、まずは、これでいいと思う。
本人は、いろいろなメディアで、選手の配置を目にしている上で決めている。
あえて、それを真似しないというのも、自分なりの判断である。
一般会の中には、この定位置で取るようにと指導するところもあると聞く。
先人の知恵が詰まったものであり、上達の近道かもしれないが、「急がば回れ」ではないが、
自分で考えて試行錯誤し、工夫して腑に落ちた形で定めれば、本人の血肉になることは疑いないだろう。
同様に「練習にて〜小学生とベテラン〜」では、ある程度取れるようになっている小学生が自分なりに工夫している様子を紹介した。
このケースも、自分で考えることを始めた一例である。
この工夫は、「札を目に入りやすくする」という目的と感じたのだが、SYかるた会の小学生低学年から、かるたを始めた子供たちの定位置には、
自陣の中段に札が多いという傾向があるように感じる。
当然身長はまだ低いわけだが、おそらく自分の目の位置(大人より低い)という点で、見やすい(目に入りやすい)、そして、
充分でないリーチで払いやすい位置であるということから、そうなっているように感じる。
一方、敵陣を取りに行くのは、身長やリーチの問題でも苦労がある。得意札は、敵陣でも狙っているようであるが、取りづらいせいもあるのか、守り基調になっている。
今後の課題としては、敵陣を攻めるためにはどうすればよいかを、自分自身で工夫することにあると思う。
実戦をみていると、最近成長著しい小学生が、大人相手にリードを奪うも、終盤で逆転されてしまうケースがある。
リードを奪って、敵陣が多くなると攻めきれずに守られてしまうのだ。そして、追いつかれると、相手に自陣を抜かれてしまい。結果、逆転負けをしてしまう。
おそらく、本人は気づいているはずで、「では、どうするか」を考え始めていると思う。
自分で試行錯誤することは大事だが、人にアドバイスをもらうことは悪いことではない。
自分に今こういう課題があって、こういう工夫をしてきたが、うまくいかないから、アドバイスがほしいと言ってくれれば、いつでもアドバイスをする用意はある。
こっちから、それとなくふってもいいのだが、あくまで自主性を重んじることとしたい。
アドバイスを受けたからといって、それを自分なりに落とし込むには時間がかかる。
自分なりに考えた工夫に成果があらわれるのにも時間がかかる。
このかかった時間をどう評価するかではあるが、小学生には我々と比べて使える時間があることは間違いないだろう。
SYかるた会には中学生もいるが、よく工夫していると思うし、小学生よりは我々大人に対しての距離感は近いように思う。
質問も、アドバイスを求めることも、おおいに歓迎するので、遠慮なくきいてほしい。
小学生の時の得意札に関する感覚などは、セオリーとは関係なく自分の中で特殊な個性として研ぎ澄まされていく。
それは、本人にも大事にしてほしいし、セオリーとは違うからといって矯正したりすることはないと思っている。
個性を大事にし、自分で考えることと工夫することを大事にし、そして自主性を重んじた上で、さらに「楽しさ」を担保して、どう一人一人の選手に向かい合っていくか。
これが、現在の私自身の小学生指導に関しての課題である。
次のTopicへ
前のTopicへ
★ “新 TOPIC”のINDEXへ
☆ トピックへ
★ トピック-“番外編”-へ
☆ "TOPIC"シリーズ-“INDEX”-へ
★ ページターミナルへ
☆ 慶應かるた会のトップページへ
★ HITOSHI TAKANOのTOP-PAGEへ