喜撰法師

わが庵は都のたつみしかぞすむ
   世をうぢ山と人はいふなり


決まり字:ワガイ(三字決まリ)
 詠み人の喜撰法師は、六歌仙の一人として知られる。六歌仙とは、古今和歌集の 仮名序に登場し、撰者である紀貫之から評される六人の歌人のことである。それでは この六人の評をみてみよう。

 大伴黒主…そのさまいやし
 僧正遍昭…うたのさまはえたれども、まことすくなし
 在原業平…そのこころあまりて、ことばたらず
 文屋康秀…ことばはたくみにて、そのさま身におはず
 喜撰法師…ことばかすかにして、はじめをはり、たしかならず
 小野小町…あはれなるようにてつよからず、いはばよきをうなのなやめる所ある ににたり。つよからぬはをうなのうたなればなるべし。

 最初に書いた「そのさまいやし」と評されている大伴黒主以外の5人は、百人一首に 撰ばれているが、歌人としての批評はどうであれ、六歌仙は六歌仙である。

 なお、この六歌仙を六倍した数が三十六歌仙で、藤原公任が「三十六人撰」を撰び、 それがもととなったものである。
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1995年11月  HITOSHI TAKANO