愛国百人一首
源俊頼
君が代は松の上葉におく露の
つもりて四方の海となるまで
<愛国百人一首における決まり字>
キミガヨワマ(6字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
キ音10枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
君が代は、松の葉の露がポツリポツリと落ちていき、その露が積もり積もってたまっていって
ついには四方の海となるまで限りないものである。
「君が代」はもともとは、「君の御年齢」の意味だったが、のちに「君の御治世」という意味
になっていく。
言祝ぎの歌である。まさに言霊の生きていた時代なのである。
<コメント>
「君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」
「君が代は天の羽衣まれに来てなづともつきぬ巌ならなむ」
こういう歌と同じような祝意の歌である。これらは「巌」に寄せて詠んでいるが、この俊頼の
歌は、堅く動かぬ「巌」ではなく、「常盤の松」のめでたさに動きと柔らかさを感じさせる「露」
を詠んで、さらに海の広さを表現して、時間の永久的長さをあらわしているところが、趣きの異な
るところである。
俊頼は、過去の歌などを意識しつつ、意図的に同じ趣意の歌の違う表現に挑戦したのであろう。
藤原公任と同じように三舟の才を謳われた源経信の子として、
俊頼は、歌道の家、六条源家を受け継いだ。昨歌には苦心し、片言隻句を捨てずにことごとく歌の
材料にしていったという。人と争わず、自分を非難する藤原基俊にも
応じず、その温厚さが時の人々の称賛するところとなったという。堀河帝、鳥羽帝、
崇徳帝の三代に仕えた。
なお、藤原定家は、俊頼の歌については小倉百人一首と百人秀歌
にはそれぞれ異なる歌を撰んでいる。これは特筆してよいことだろう。
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2008年5月10日 HITOSHI TAKANO