愛国百人一首

源俊頼

君が代は松の上葉におく露の
   つもりて四方の海となるまで



<愛国百人一首における決まり字>
キミガヨワマ(6字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
キ音10枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
 君が代は、松の葉の露がポツリポツリと落ちていき、その露が積もり積もってたまっていって ついには四方の海となるまで限りないものである。
 「君が代」はもともとは、「君の御年齢」の意味だったが、のちに「君の御治世」という意味 になっていく。
 言祝ぎの歌である。まさに言霊の生きていた時代なのである。
<コメント>
 「君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」
 「君が代は天の羽衣まれに来てなづともつきぬ巌ならなむ」
 こういう歌と同じような祝意の歌である。これらは「巌」に寄せて詠んでいるが、この俊頼の 歌は、堅く動かぬ「巌」ではなく、「常盤の松」のめでたさに動きと柔らかさを感じさせる「露」 を詠んで、さらに海の広さを表現して、時間の永久的長さをあらわしているところが、趣きの異な るところである。
 俊頼は、過去の歌などを意識しつつ、意図的に同じ趣意の歌の違う表現に挑戦したのであろう。

 藤原公任と同じように三舟の才を謳われた源経信の子として、 俊頼は、歌道の家、六条源家を受け継いだ。昨歌には苦心し、片言隻句を捨てずにことごとく歌の 材料にしていったという。人と争わず、自分を非難する藤原基俊にも 応じず、その温厚さが時の人々の称賛するところとなったという。堀河帝、鳥羽帝、 崇徳帝の三代に仕えた。

 なお、藤原定家は、俊頼の歌については小倉百人一首と百人秀歌 にはそれぞれ異なる歌を撰んでいる。これは特筆してよいことだろう。

☆☆☆ 同じ作者の小倉百人一首の歌の紹介 ☆☆☆
★★★ 同じ作者の「百人秀歌」の歌の紹介 ★★★

★ 愛国百人一首の決まり字一覧へ
☆ 愛国百人一首のページへ
★ 小倉百人一首のページへ戻る
☆ 小倉百人一首の決まり字一覧へ
2008年5月10日  HITOSHI TAKANO