相模

恨みわびほさぬ袖だにあるものを
   こひにくちなむ名こそ惜しけれ


決まり字:ウラ(二字決まリ)
 夫が相模守であったところから、相模と呼ばれる。
 この歌は内裏歌合の時に詠まれたものである。この歌合で番(つが)われた のは、源経俊の「下もゆるなげきをだにも知らせばやたく火の神のしるし ばかりに」である。
 歌合で勝ったのは、この相模の「うらみわび」である。「あなたを恨み 思い悩み、涙で袖を濡らしてその袖の乾く間もありませんが、袖が涙で 朽ちるばかりでなく、私の名前さえもこの恋のゆえに朽ちてしまうのは 口惜しいことです。」という意味になるだろう。

 「う」で始まる歌は百首中2首である。この百首中2首の音は「うつし もゆ」と覚える。「う」の場合は「うら」「うか」。この「うつしもゆ」は 片方が読まれれば、残ったほうは、一字決まりとなる。初めからの一字決まり といえば「むすめふさほせ」であるが、この「うつしもゆ」も結構早い時期 に一字決まりになりやすい音なのである。決まり字の変化を追いやすいだけ に要チェックの音なのである。
 なお、他は「つく」「つき」、「しの」「しら」、「もろ」「もも」、 「ゆう」「ゆら」である。

 この歌のリンクで50番目である。やっと半分である。
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2008年3月31日  HITOSHI TAKANO