TOPIC   "番外編"

絶滅危惧種

〜保全活動は必要か?〜

Hitoshi Takano SEP/2017

 最近、自嘲気味に言うのが「私のかるたは、"絶滅危惧種"だから、、、」という台詞である。

 何が「絶滅危惧」なのかというと、上段中央に札を定位置として配置するスタイルのかるたである。
 上段については過去にもいろいろ書いている。興味のある方は以下のタイトルをクリックしてもらえれば読むことができる。

     上段論
     苦手意識の罠(4)
     昭和のかるた
     キャッチ・フレーズ
     助言と継承   また・後輩への手紙(5)
     自分の武器   続・後輩への手紙(9)
     質問に答える   再・後輩への手紙(10)
     自戦記   (上段配置の事例)

 われながら、よく書いている(笑)。 それなりに思い入れがあるテーマだからだろう。
 特に一番下に記した自戦記は、上段にどう置いて、どう取っているかが垣間見えると思う。2008年のケースは、お互いに初期配置に上段が多い事例なので、配置図と見比べながら読んでいただきたい。対戦者の上段は、定位置として札の場所は決まっており、この札はこのあたりの場所に置くということで、上段の札の増減があったとしても、位置優先で札と札との間隔が等間隔になるというようなスタイルではない。しかし、私の場合は、右上段に寄せる札は別として、ある範囲で等間隔に置く傾向がある(自戦記の配置図では、WEBの枠の関係で充分に表現しきれていないが、、、)。これにより、上段の札が一枚減ったり、送られて一枚増えたりすると、微妙に札の場所が変わっていく(上段の枚数が減ってくると結構位置が動くこともある)。こうした並べ方のちょっとしたことにも、同じ「上段つかい」でも、個性が現れるのである。また、個性といえば、上段の札の取り方も、人それぞれで個性がでる。払いを多用する選手、突きを多用する選手、低く手を出して押える選手、実に様々である。また、これらの混合タイプもある。こうした点に注意しながら観戦すると興味深いと思う。

 さて、現在、慶應かるた会の現役選手は50名程度いるが、上段の中央部を定位置にする選手は皆無である。平成以降に慶應かるた会で競技かるたを始めた選手で、上段の中央部を定位置として使った人間は、おそらく片手でも余る人数しかいないのではないだろうか。このような状態であるのだから、上段中央部を定位置として利用する選手(かるた)を「絶命危惧種」と呼ぶのは不適切ではあるまい。

 さて、こんな絶滅危惧種であるが、絶滅を防ぐための保全活動は必要であろうか?

 要するに、後輩にこの技術を積極的に教えるかどうかである。
 結論からいうと、望まれなければ教える必要はないということである。
 もしも、後輩が壁にぶつかって、何か違う技術を試してみたくなったときに、私との対戦を思い出して教えてほしいといわれれば喜んで教えたい。しかし、本人が望まない状態で教えるのは、結局は本人のためにならないような気がするのだ。

 さて、「絶滅危惧種」とはいえ、万一、後輩たちが試合で、「上段つかい」の選手にあたったとする。それまでに一度も対戦の経験がない場合、面食らって、実力が発揮できないことも予想される。そのときに、私との対戦経験があるとないとでは大違いである。私との対戦が、きっと役立つはずだ。

 「絶滅危惧種」も、存在意義はきちんと示していきたいと思う今日この頃なのである。

 興味のある方には、指導します。
 ぜひ、声をかけてください!

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