まだ・後輩への手紙(I)

Hitoshi Takano   MAR/2017

新入生受入準備


前 略 3月になりました。年度末です。3年生は会社説明会への出席などであわただしい時期になりました。1年生の皆さんにとっては、4年生の送り出しと自分たちの1年後輩の新入生の受入準備と一抹の寂しさの中にも期待感を持つ気持ちの複雑な季節になりますね。なによりも、皆さんには職域学生大会という月末の大きな活動目標のある月です。今年度の有終の美を飾ってもらいたいと思います。

 さて、「後輩への手紙シリーズ」も第6シーズンを迎えました。今回は、「まだ」とさせていただきました。第5シーズンの第1回に團伊玖磨さんの「パイプのけむり」シリーズのネーミングについて紹介いたしましたが、「又」→「又々」のあとに出てくるのが「まだ」→「まだまだ」でした。私のシリーズでは、二度重ねる表現は今のところしていないので、「また」のあとを「まだ」にさせてもらいました。いづれは、二度重ねや、組み合わせパターンも登場するかもしれません。引き続きよろしくお願いします。

 冒頭にも書きましたが、現1年生は新入生の受入準備ということで期待と不安がいりまじった気持ちかと思います。この「後輩への手紙」シリーズでも、新入生を迎える新2年生へのメッセージをなんどか書いていますので参考にしていただきたいと思います。

       2009年4月  続・後輩への手紙(IV)
       2009年10月  続・後輩への手紙(VIII)
       2010年6月  新・後輩への手紙(I)
       2012年1月  新・後輩への手紙(X)
       2013年4月  再・後輩への手紙(IV)
       2015年4月  また・後輩への手紙(III)

 これ以外にも関連する手紙はたくさんあります。結局、「後輩への手紙」ですから、「後輩」に対しての助言や激励が多くのなるのは当然かもしれません。代表的なものの一つは、2012年12月の「再・後輩への手紙(II)」かもしれません。ぜひ、手紙シリーズのINDEXから、いろいろクリックしてみて発見してみて下さい。
 だいたい、書くネタが重なってしまうので、重なることは上記の記事を読んでもらうとしますが、これだけ書いているということは、新入生受入の上級生へのメッセージということを私が重視していることにほかならないと思います。自分でもあらためて、こんなに書いていたのかと驚きました。「私的かるた論」の中でも2007年11月に「新人指導論」や2012年11月〜2013年10月に渡って「指導の方法論」(1〜3)を書いています。これをご覧になりたい方は、以下のインデックスを作成しているのでクリックしてみていただきたいと思います。

       指導の方法論

 以上を参考にしていただくとして、今年の1月下旬に、現役の慶應かるた会執行部から、土曜日の12時45分集合ルールとともに「練習ノートの導入」について、OBメーリスに流れました。新入生の指導にも、自分自身の上達にも役立てていければ良い効果が見込まれると思いますので、ぜひ、活用してください。
 一応、OBにも流れてきた情報を以下に再掲します。

===============    練習ノート導入について    ===============

1 練習ノートとは
  会として推奨するかるた記録ノート
    目標・課題や試合でできたこと出来なかったこと、もらったアドバイスを記録

2 練習の現状と問題点
  感想戦で自分へのフィードバックが得られない時がある(実力差がある場合など)
  相手がどんなかるたを目指しているのか、なにに取り組んでいるのか分からないので、 何をアドバイスしたらいいのか分からない
  相手に必要なアドバイスを要点を捉えて伝えられていないときがある
  ダラダラと無駄に感想戦長いときがある
  特に初心者において、様々なアドバイスを自分で取捨選択できていない

3 予想される効果
  なんとなく試合をこなすのではなく、目的をもって試合をすることができる
  ノートに書かれた目標等を共有することで、本人に必要なアドバイスを与えられる
   試合の分析、相手からのアドバイスを整理することができる
  自分が必要なことを考えるきっかけになり、情報の取捨選択するための軸になる
  このノートが長く続くことで、今 A 級の人が C 級の時にどういうことを考えてたのかなどが分かる

4 内容
    ファーマットの項目を最低限押さえつつ、基本自由
   フォーマット
    フォーマットに縛られず、自分で項目を追加したりレイアウトを変えてよい
    最初のページに貼るのがおすすめ
    かるた会の Google Drive 共有用→「練習関連」からダウンロード可能
   1年後の目標
    1年ごとまたは達成後に更新
    裏表紙など目立つところに書く
   1か月間の目標
    1年ごとまたは達成後に更新
    ページの上部の白紙等に書く
   1日を通しての目標
    練習前に記入
   試合の目標
    試合前に記入
   対戦相手、級、勝敗
    分かりやすいように
   1 目標の達成度
    設定した目標に対する達成度をパーセンテージで記入
   2 できたこと
    目標に対してや、予想外にできたこと等
   3 できなかったこと
    目標に対してや今までできたのにその試合ではできなかったこと等
   4 相手からのアドバイスや意見のメモ
    感想戦で得たアドバイスや意見をメモする
   定位置表
    自分の定位置をすぐに見直せるように
    最後のページに貼るのがおすすめ
    かるた会の Google Drive 共有用→「練習関連」からダウンロード可能

5 使い方
   練習前にその日 1 日の目標を設定する
   試合前にその試合の目標を設定する
   並べ始める前に相手と目標を共有する
   試合
   試合後、フォーマットの123を記入
   相手と感想戦、メモは4に
   次の試合の目標を設定する
   ...
   帰宅後等、後日追記をコメントや付箋で

6 使う場面
   会の練習
   大会
    大会後などに記入
   他会の練習
    他会に迷惑が掛からないように、でも忘れないうちに記入
   1 人取り
   他人の試合を観戦した際等々

7 補足
   1 冊目の A4 ノートは支給、2 冊目以降は各自で
   合わない人は、無理にやらなくていい
   すでに自分のかるたノートを持ってる人は、そのノートを練習ノートにするか、会の練習用に練習ノートを作る
   面白いノートは全体 LINE で共有していくので、気に入ったらどんどん真似していこう!

============================================================

 水をさすつもりはありませんが、結構ヘビーな内容です。最初からエンジン全開でがんばってつけると途中で息切れする可能性もあります。無理のない範囲で利用してください。なによりも習慣化して長く続けることが大事です。
 長く続けると「個人データの楽しみ」というおまけもつきますが、こういう楽しみを感じるのは一部の人だけかもしれません。
 私もノートに数行の感想を書いていた時期がありましたが、今は、自分自身は対戦日付、対戦場所、対戦相手および対戦結果のみです。それでも振り返りに役立てることができます。振り返りに役立たせる意図では、SFCでの練習において、対戦相手に向けてのコメントをホームページに掲載するという試みをしました。対戦相手がそれを読めば客観的な振り返りになると思ったからです。読んでみたい方は、以下に紹介するページをクリックして見てください。

-日々の練習から-   “未来に活かす練習のために”  〜職員“T”のコメント〜

 印象に残る対戦については、Web-Siteの"TOPIC"の項目などでも取り上げています。最近のものでは、2017年2月の「痛恨の敗戦」がこれにあたります。「自戦記」「職員名人戦」の短評、「職域学生大会」の出場記録なども、私の記録の一端です。私にとっては、練習ノートの役割の一部をWebのページにおわせているところがあるのでしょう。
 さて、このノートの件で、もっともおそれるのは「ノートをつけることが目的化してしまう」ことです。何のためにノートをつけるのかをきちんと認識して、その目的のためのノート記入にしてください。ノートをつけるために練習しているのではないのです。競技力の向上のためにつけているのです。ノートはそのための一手段にすぎません。すべての項目を書くために、練習の途中に、ここはノートに書いておかなければと余計な記憶をすると試合自体に集中できなくなります。1試合終わったら覚えていたことだけ書けばいいので、試合中に何を書こうということを覚えている必要はありません。試合経過は忘れてしまっても試合に集中することが大事です。私も、新入生との練習だと、ここは注意しないといけないなどと考えながら取ってしまいます。しかし、最近ではそういうスタイルはやめようかと思っています。1試合を集中して終了させて、覚えている事柄、思い出せる事柄だけを指摘するようにしようと考えています。実は、少し取れるようになった人には「何か聞きたいことはない?」 とか「何か質問はない」と聞いて、本人が何をその試合のポイントとして考えているのかを理解するようにしています。こちらからあまり話してしまうと本人が受身的になってしまうので、本人に能動的に振り返りに参加してもらうようにしています。
 なんにしても、この練習ノートの試みは指導する上級生にも指導される下級生(新入生)にも、いろいろな気付きを与えてくれると思います。実践してみて、不具合な点は修正し、よりブラッシュアップしたノートにすればいいのです。ぜひ、効果的に使ってほしいと思います。
 では、また、練習場でお会いしましょう。
草 々

追伸  今年も4月は新入生が昨年並みに押し寄せることと予測しています。4月の土曜日は、OB/OGが日吉に練習に行っても、練習場を手狭にするだけかと思います。そこで、4月の土曜日は、三田婦人室で教職員かるた会主催でOB/OGが参加できる練習会(クリックして→参照)を企画する予定です。実施の際は、掲示板やメール、ツイッターなどでお知らせします。三田キャンパスで土曜日に授業のある現役上級生にも参加いただけると、手狭(最大4組)ながらも盛り上がるかなと思っています。よろしくお願いします。

次の手紙へ          前の手紙へ

手紙シリーズのINDEXへ


トピックへ
私的かるた論へ
慶應かるた会のトップページへ
HITOSHI TAKANOのTOP PAGEへ

Mail宛先