源 兼昌
淡路島通ふ千鳥の鳴く声に
幾夜寝覚めぬ須磨の関守
決まり字:アワジ(三字決まリ)
作者は、宇多源氏の流れである。そして、この歌は、源氏物語の「須磨の巻」
のイメージの強い歌である。源氏物語の光源氏のモデルとしては、河原左大臣
源融と言われるが、また、光の君が須磨で生活する「須磨」については
在原行平の須磨行きをネタにしたのではないとも言われている。おそらく
源氏物語には、さまざまな実際のネタや噂など、当時の宮廷人が読めば、
「ああ、あの話だ」というようなものが、多々入っているのだろう。
さて、「淡路島」は「アワジシマ」なのだが、百人一首では「あはじしま」
と書くものと思っていただきたい。
何故か?
それは、百人一首の中には「あ」の音で始まる札が16枚あるが、これを
「はらきまりさしひけ」と覚えるからである。
この冒頭の「は」こそ「あはれとも」と「あはじしま」の2首なのである。
では、「はらきまりさしひけ」の解説をしよう。
「は」…あはれ、あはじ
「ら」…あらし、あらざ
「き」…あきか、あきの
「ま」…あまつ、あまの
「り」…ありあ、ありま
「さ」…あさじ、あさぼらけあ、あさぼらけう
「し」…あし
「ひ」…あひ
「け」…あけ
「あ」札は、一番数が多いが、この「はらきまりさしひけ」で覚えれば
大丈夫である。
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2008年3月 HITOSHI TAKANO